「教育現場でのデザインマネジメント」(岩倉信弥:多摩美術大学名誉教授)

2010/03/26 お知らせ(NEWS), 書籍の仕事 by admin

本田技研工業において、初代シビックから歴代の四輪車のデザインをリードし、 デザイナーの出身ながら常務取締役にまでなられた岩倉信弥さんの新刊です。岩倉さんは「本田宗一郎に一番叱られた男」という異名でも知られています。

本田を定年退職された後、多摩美術大学の教授に転身され、約10年をかけて同大学の生産デザイン学科の教育体制を改革しました。その結果、競争倍率を維持したまま、入学定員数を2倍に増やすことができたのです。

同書は、岩倉さんが教育現場で経験した10年間の奮闘と、培ったノウハウをまとめた本です。

岩倉さんの真骨頂は、「大学のお客さんは誰か」という根源的な問いから始めたことです。

当初、教授陣は「お客さんは学生であり、商品は教育カリキュラムである」と言いました。

岩倉さんは、そんな教授陣に疑問を投げかけます。本当にそうなのでしょうか、と。

岩倉さんは「大学が世の中に生産しているのは卒業生である。とすると、学生こそが大学の商品であり、そのお客様とは、すなわち就職先企業ではないか」と考えたのです。

「学生を商品と扱うなんて!」と、最初は反対していた教授たちも、やがてコンセプトを理解します。

「お客様(就職先=人材市場)のニーズをよく理解し、最高の商品(学生=若きデザイナー)を作り上げるには、大学は何をしたらよいのか」という、メーカー流の品質魂(たましい)が、結果として同大学の教育水準を高め、卒業生の質を高めることとなりました。岩倉さんの改革は、今では世界的な評価を得ています。

著者:岩倉信弥(多摩美術大学名誉教授・本田技研工業社友・経営学博士)
編集協力:伊田欣司(クリエイティブアーティスツ)
発行:株式会社実業之日本社
発行日:2010年3月21日


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